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調査研究方法検討会 かわら版 第50回調査研究方法検討会かわら版

■ 第50回調査研究方法検討会かわら版 ■

 去る7月2日(土)、3日(日):サンポートホール高松(高松)にて第50回調査研究方法検討会が開催されました。場所の設定・準備などは永井崇雄氏のお世話になりました。ありがとうございました。また、宮田章子氏のお世話にてスタットコム(株)取締役、統計解析部部長 松尾富士男氏により特別講演も開催されました。検討会の報告は、各演者の方へお願いしております。ご発表いただいた研究の概要とともに検討会で議論された内容も含めご報告いたします。
    2日(土)
    ○「ワクチンの接種費用と保護者の接種意志:ヒブとムンプスワクチンの比較」
                牟田 広実
     昨年7月の検討会で研究方法の検討をしていただき、外的妥当性を高めるため接種費用と支払い法(償還、現物)に絞った形とした質問紙を用いて、ヒブ、ムンプスワクチンそれぞれ100例ずつの調査が終了。今回は、解析結果の紹介を行ったのち、論文化する際のdiscussionの方向性、研究の限界(コンジョイントの属性として取り上げなかった接種後の副反応に対する補償、接種の位置づけ(定期か任意か、及び疾患とワクチンの説明文の内容)、投稿雑誌について検討していただいた。今後、追加の解析(世帯年収、保護者の最終学歴、子どもの数での比較)、および実際に助成をおこなっている自治体への接種率アンケートを行った後、外来小児科に投稿予定である。

    ○「手洗い習慣は幼児の欠席日数を減らすか?」      牟田 広実
     本研究のリサーチクエスチョンは、表題のとおりである。デザインは前向きコホート研究で、質問紙を用いて保育所に通園している園児を家庭での手洗い習慣で層別化し、家族の人数、子どもの数、母親の学歴、予防接種歴、主な感染症歴、喘息などの慢性疾患の有無、うがい習慣などの交絡因子を調整した後、「手洗いの習慣がある保育園児は、ない園児と比較して、年間○○日病気による欠席日数が少ない」という結果を得るための研究方法について検討していただいた。アウトカムを2段階とする(1. 欠席日数すべて、2. 現症(例えば下痢など)別の欠席日数)ことで次の研究に繋がる可能性や、交絡因子の決定に参考となる文献の紹介をしていただいた。また、感染源の暴露源としては保育所が多いと考えられるため、negative dataになる可能性が高いという意見も多く頂いた。対象の保育所を増やすかなど、今後はもう少し研究方法を煮詰めて、倫理委員会および研究基金の申請を行い、来年度1年間かけて調査を行いたいと考えている。


    ○「同時接種に関する文献的検討」            中村 豊
     ヒブや小児肺炎球菌ワクチンが市販されて同時接種が広まったが、その安全性や有効性については、海外で多数例に対して実施されている等の説明がなされているのみである。急激に広まった同時接種につき、その安全性と有効性について国内外の文献を検索し、その内容について検討した。
    (方法)ネット検索を利用して同時接種の安全性と有効性に関する文献を検索した。さらにワクチンの組み合わせ別に文献検索を行った。MMRを含む組み合わせについては文献数が少なかったため、今回は文献数がある程度多く、日本でも多数行われているDTPとHibの組み合わせについて検討した。
    (結果)DTPとHibを含む組み合わせの同時接種に関連した文献を84編収集した、そのうちDTPとHibの2者の同時接種とDTP単独接種を比較した文献は、国内外で16編あった。記載された結果を検証したところ、以下の点が明らかとなった。1)DTPのそれぞれに対する抗体価の上昇は同時接種の際も個別接種と同様であった。2)海外では結合蛋白の異なる数種類のHibワクチンが市販されており、報告では4種類のHibワクチンが使用されている。日本で使用される破傷風トキソイド結合ワクチンを用いた報告は8編で、DTPも国により内容が異なることを考えると日本と同じ形での同時接種の研究は限られている。3)安全性の検討のうち頻度の高い局所反応や、発熱などの全身反応に関する検討は多数例で行われているが、突然死など頻度の低い副反応に関する検討は、今回検索した文献での研究方法では十分な検討ができない。同時接種で突然死が増加するかどうかの研究には、別の方法をとる必要がある。

    ○ 特別講演 「ワクチンの有効性・安全性の臨床評価に関する研究デザイン」
           スタットコム(株)取締役,統計解析部部長 松尾富士男
     ワクチンを題材に、臨床評価の統計手法についてご講演いただいた。疫学的手法の利点や限界からはじまり、リスク要因や原因の特定のためには、ケースコントロール研究やコホート研究が必要なこと。また、新しい治療法の検証には、ランダム化比較臨床試験 RCT(randomized controlled clinical trial)が適していること。疾患発生の尺度としてのリスク、有病率、罹患率の違いと応用例など具体的にわかり安くお話いただいた。また、ワクチンの有効性の評価のためMatched case-control研究の大変さや必要性について、百日咳を例に説明された。また、スクリーニング法として、地域のワクチン接種率が正確に把握できている場合は、発症者のワクチン接種率のみでワクチンの有効率が算出できる方法の紹介もあった。また、患者のみの情報を収集することによって、ワクチンとの因果関係を推定するself-controlled case series method(SCCS法)なども紹介された。現在、本邦でワクチンの同時接種がはじまりリスクの評価が重要視されており、そのような研究解析にも有用であり、たいへん興味深い講演であった。

    3日(日)
    ○「PDMインフルエンザワクチンを接種した妊婦から出生した児の臨床経過,
        -臍帯血インフルエンザ抗体との関係-」    杉村  徹
     近年、妊婦へのワクチン接種により出生児のワクチン効果についての報告が散見された。
    本研究は、妊婦へ新型インフルエンザに対するPandemic(PDM)ワクチンを含んだワクチン接種後の、出生児の臨床効果の調査である。前回第49回検討会で発表し、乳児の複数採血の困難さや、コントロールとしての臍帯血採血の必要性が指摘され、今回は臍帯血のインフルエンザ抗体検査に絞って調査を行った。2010年11月から2011年1月までの間にインフルエンザワクチンを接種した妊婦から出生した児89例を対象とし、コントロールはワクチン未接種の妊婦から出生した児65例とした。出生時の臍帯血を採取しインフルエンザHI抗体を検査した。現在、出生後6ヶ月間の臨床経過を観察中である。母体のインフルエンザ罹患歴や職業の調査、母乳栄養の有無、感染免疫をより反映する中和抗体検査の必要性など議論された。また、インフルエンザ流行時期が罹患率に影響するため、対象の出生時期の調整が必要との意見があった。

    ○「新型インフルエンザ流行期における小児科臨床医の臨床プロセス研究パート3」      岡本  茂
     パート1では研究方法論・パート2では概念モデル(中間報告)をおこなった.現在,開業医グループ12名 勤務医グループ24名(非常勤9名 常勤16名(そのうち部長以上は7名)の2つの分析焦点者を分けて分析中である。また、他に日本小児科学会の抄録分析(内容分析)を含め日本の小児科医の新型インフルエンザの対応モデル化を構築中でもある。
    今回パート3では、最初の原点にもどって白紙の状態からの議論として,1.小児科医以外の内科医のほうがたいへんだったのでは,2.政治行政的アプローチもあるのでは,3.小児科医同志でも対応に濃淡があるのでは等のご指摘をいただいた。
     次回、統合的な概念モデルを提示する予定です。

    ○「川崎病のエスノグラフィのスタートに向けて」     岡本  茂
    十数年前の初夏、川崎富作先生に直接「なぜ, 川崎病を発見されたのですか」とお聞きし、
    その回答とその意味・意義を自分なりに問い続けてきた。さらに、そのことを自分なりに言語化をするためのアカデミックな方法論を模索してきた。今回、ようやく、調査研究方法検討会で、川崎病のエスノグラフィーのスタートに向けてとして、初期研究計画の一部を発表することができた。

    ○「抗ヒスタミン剤投与が小児の痙攣に対して及ぼす影響の調査」     宮田 一平
     過去、抗ヒスタミン剤(ヒスタミンH1受容体アンタゴニスト; 以降、H1Aと略記)と痙攣との関連を示唆する報告は少なからずあるものの、症例報告が殆どであり、対照との比較を通じての評価は殆ど無いのが現実である。演者は、少数の自験データから比較検討を試み、有意水準0.05未満でH1A内服と「複雑型」(5分以上継続あるいは 左右非対称 の痙攣)の関連を明らかにしたが症例数の乏しさゆえ詳細な分析までは行ない得なかった。
     そこで、痙攣を主訴として来診する患児の情報を系統的に集積しより大きな標本集団を用いて、H1Aの痙攣に対する修飾作用をより詳細に明らかすることを目的とした調査を提案し、調査方法・対象・ならびに検討項目に関して意見交換が行なわれた。

    ○「アデノウイルスに対するステロイド使用についての検討」       鈴木英太郎
    アデノウイルスによる急性咽頭扁桃炎は、高熱が続き食欲減退などの全身症状も強く伴う。少量のステロイドを使用すると解熱効果著しく、全身状態も改善される。この治療方法の確立を試みたいと考えた。問題点は、対象となる症例の決め方(ステロイドの使用開始時期・使用期間・量)、ステロイドを使用することによる不利益な点(副作用等)、文献的考察等であり、引き続き検討する必要がある。パイロットスタディでは、リンデロン使用例9例、無使用11例について、投与開始前後30時間について熱型を比較した。グラフで見る限り著しい解熱効果を示した。

    ○「インフルエンザに対するオセルタミビルと麻黄湯の解熱効果の検討」        鈴木英太郎
    自著の投稿用論文について検討を行った。問題点は、インフルエンザに対するオセルタミビルと麻黄湯の解熱効果の比較について意義があるかどうかという点である。臨床現場では投与薬の選択肢のひとつとしてオセルタミビルと麻黄湯があり、インフルエンザに対する解熱効果は臨床医としては興味があるところである。オセルタミビルと麻黄湯の解熱効果を知っておくことは重要であり、それゆえ論文の価値はあると考えた。概要は、2007年〜2008年にインフルエンザA型H1N1に罹患した1〜10才小児を対象に、麻黄湯またはオセルタミビルの解熱効果を準無作為に割り付けた各40、46例について熱型表から行った比較検討である。インフルエンザウイルスA型H1N1感染症に対して、麻黄湯は初期の発熱を軽度抑制したが、有熱期間の短縮効果は劣っていると結論した。

    ○「かぜ薬の効果の調査」        西村 龍夫
     かぜで受診した6カ月から5歳までの子どもをエントリーし、投薬内容を記録、3日後の転帰を電話で聞くことで、かぜ薬にどの程度の効果があるかを調べるstudyを企画した。
    検討会では、かぜ患者の対象症例をより明確にし、症状発現後48時間以内などの制限を付けること、最初の症例エントリーのときに連絡先を聞き、インフォームドコンセントを口頭で得ておくことを指摘された。また症例エントリー時の耳痛の有無の確認、3日後の症状の有無を聞くのではなく、症状が改善しているかどうかを聞くこと、夜間不眠等の定義を記載しておくことなどの指摘があった。以上の点を改善し、次回の調査研究方法検討会で経過報告を行う予定である。

    連絡先
    〒833-0027
    福岡県筑後市水田991-2杉村こどもクリニック
    杉村 徹
    FAX: 0942-52-6777 , E-mail:sugimura@kurume.ktarn.or.jp
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